だしを取るための枯かつお節(手前)と枯さば節。鼻を近づけるといい香りが漂います。九州の嗜好に合わせて、上質の削り節からしっかりだしを取っているのがこの商品のおいしさのヒミツ。
「料理に自信がついた」「何でもおいしく仕上がる」「買い置きがないととにかく不安」。台所になくてはならない存在として、これほど多くの組合員に支持されている商品はそうたくさんはないのでは? 生協の看板商品として君臨している、ご存知『CO-OP料理用白だし』です。’95年にコープ九州から発売後、その人気はとどまるところを知らず、10年後には九州共同開発商品としてついにコープブランドへ。今や全国区で家庭の味を支える一本に成長を遂げました。
今回、製造元である大分県臼杵市のフンドーキン醤油鰍ヨうかがい、あらためて驚かされたのはだしを取るのに使われている原料。液体調味料はどんなものを使って作っているかなかなかわかりづらいものですが、この商品はかつお節とさば節をたっぷり使い、「家庭でだしを取る工程となんら変わりありません」と工場の開発課の方が言うとおり、大きな鍋でじっくりと時間をかけてだしを抽出しています。特筆すべき点は、どちらも“枯れ節”というワンランク上の削り節を使っているところ。「削り節にする段階で何度もカビづけを行う枯れ節は、それだけ時間はかかりますがだしの風味が格段によくなるんです」
味の決め手となるかつお節も風味に広がりを出すさば節も、そのままご飯のおかずにでもしたくなるほどの立派な形状とツヤ、いい香りと味わい。今や白だしはあらゆるメーカーから発売されていますが、このように製造元みずからだしを取って加工しているのが大きな特徴だそうです。
もちろん、原料だけでなく、だし自体の味わいに対してもその評価はかなりのレベルを誇ります。「味が薄すぎるとおいしくないし、かといってだしが立ち過ぎると料理がすべて同じ味になってしまう。適度な味わいで脇役に徹し、いい具合に素材の持ち味を引き出す、いわば縁の下の力持ち的な存在でしょうか」
かつてはコープ商品として販売していた薄口の本醸造醤油(微生物の力で発酵熟成させた旨み成分が生きる醤油)を用い、味に深みを持たせているのも生協ならではのこだわり。和食にとどまらず、たとえばパスタやトマト煮、チャーハン、ドレッシングなど、あらゆる料理の隠し味に力を発揮します。
コープ九州の生活情報誌クリム11年4月号より