麺のコシを出すための数々の工程こそうどん県≠ネらではのこだわり

茹でて冷水でしっかり洗って麺を締めると同時に、ぬめりを取ります。
鍋のシメにも、具材をたっぷり入れて鍋焼きうどんにも。さぬき生まれのコシの強さを味わってください。

「コープ冷凍うどん」は本場・香川県で作っているということで、今日は楽しみにして来ました。
ありがとうございます。製造の工程は単純なんですよ。材料は小麦粉と食塩、水、加工でんぷん。それだけです。
シンプルですね。
まず、材料をすべて混ぜ合わせて生地を作ります(@)。できた生地を麺帯と呼ばれる長い帯状に延ばして、熟成させて細く切れば麺は完成なんですが…。
そこに製法のヒミツが隠されているわけですね?
はい。できた生地はまず、足踏み工程のラインに運ばれます。じつはこれ、昔ながらの手打ちうどんに限りなく近づけるためのオリジナルの機械なんです。生地を足で踏んでコシを強くする技を機械で再現しているんですよ(A)。
おもしろい!
広げた生地の上に、四角い機械がゆっくり降りてきて生地を押さえているでしょう。
スタンプを押すみたいに…。
四角い機械の先が足の裏。中央のへこみは土踏まずを表現しているという…。
なるほど、よくできている。
機械の角度があちこち違っているのは、足で踏むときに、いろんな方向からまんべんなく踏む状態を再現しています。
芸が細かいというか(笑)。
約30分の足踏み工程を経て、ローラーで生地をギュッと締めて厚さ約2・5pの麺帯に延ばしたら、次は綾織り工程へ(B)。
綾織り?
伸ばした麺帯を、90度ずつ角度を変えながら重ねるんです。
これもオリジナルですか?
もちろん。ここまでやる製麺工場は、そうないと思いますよ。
単純に伸ばすだけでなく、あえて複雑な足踏みや綾織りを取り入れるのはなぜですか?
麺のコシを出すためです。足踏みは、じっくり踏んで生地を鍛えるため。綾織りは、角度を変えて折り重ねてグルテンを交差させ、層を密にするため。どちらもコシを出すために欠かせません。
「冷凍うどん」のコシはこの工程からきているんですね。
綾織りにした生地は、最後に“よりかけ"をします(C)。平らな麺帯を丸い筒に通すんですが、これは糸をよっていくイメージ。グルテンを交差させ、生地をさらに密にします。
そこまでするとは!
その後一旦、麺帯を棒状にして、温度を一定にした棒熟成のラインでしばらくねかせます。そしてさらに温度を一定に保った本熟成ボックスで、40分間さらにねかせて熟成させなければなりません(D)。
製造はシンプルでも、一つひとつの工程は複雑ですね。
外側はモチモチ、中はシコシコ。これがいわゆるさぬきうどんのコシなんですが、そういう食感を出すためには、生地を踏んだり織ったりよったりして鍛えることが大切。さらに、生地を休ませて熟成を促すことで、表面のモチモチ感が出てくるんです。
このラインでは、生地から麺状にカットするまでに約2時間かかりますが、熟成は生地になった時点から始まりますので、このうどんは2時間、熟成させていることになります。ちなみに、「さぬきうどん」の定義に、2時間以上熟成させるという条件があるんですよ。
うどんの世界は奥が深いです。
スープもついていない「冷凍うどん」は、麺のみの一本勝負。我々は惜しみなく労力を費やします。
うどん県民として(笑)。
もちろんです! 熟成した生地は、圧延ローラーにかけて再び麺帯にし、麺状にカットして(E)茹でて冷却。1食分ずつ急速冷凍すれば、できあがりです(F)。
やっと完成ですね。
我々の会社は明治25年(1892年)創業。長年の技術の結晶が、この「冷凍うどん」なんです。
これだけの工程を見れば納得できます。今後はいっそうおいしくいただけること、間違いナシですね。
小麦粉に食塩と水、加工でんぷんを加えて、ミキサーで混ぜ合わせて生地を作ります。
生地をラインに広げて、上から四角い機械でゆっくりと押していく足踏み工程。白い部分が“足”なのです。
足踏み工程を終えた生地を薄く伸ばして、次は綾織り工程へ。こんなふうに生地を90度ずつ曲げながら重ねます。この工程で4〜6層の生地が重なるそうです。
足踏み工程を経た生地。しっかり弾力が出ています。
これは“よりかけ”工程。綾織り後、薄い麺帯に伸ばした生地を筒に通します。
“よりかけ”を施した生地を棒状にしてカットします。
熟成ボックスでねかせて熟成させれば、生地は完璧!
生地を長さ25〜27p、径2.7oの麺状にカット。
1食分ずつトレイに入れ、急速冷凍してできあがりです。
内袋に入れた後、3食分ずつ外装して完成!

コープ九州の生活情報誌クリム17年1月号より

 

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