梅酢たこ

さわやかな梅酢とたこの食感が絶妙な、さっぱり味

年季の入った木樽から、洗浄した真だこを取り出す。たこの調理はしっかりとした洗浄とぬめりを取るための塩もみが味を大きく左右するらしく、「樽で勢いよく中を回すことによって、まんべんなく塩が行き渡り、ぬめりが取れてしまうんです。手作業ではとてもできない作業。とはいえ機械化も難しく、樽を使うとはさすが、たこの産地ならではのアイデア!

樽を使ったたこの塩もみと、2年間の開発期間を経た梅酢。
おいしいワケはそこにある!

そのままでももちろん、大根やきゅうりをあえて酢の物風にしても。

しその香りとお酢のさわやかさがお口に広がります。といっても決して強い酸味ではなく、とてもマイルドでやさしい味わい。弾力のあるたこの歯ごたえと梅酢のさっぱりとした風味が絶妙にマッチした『co-op梅酢たこ』を知っていますか? 茨城県ひたちなか市にある川達水産鰍ナ製造されていたものを約15年前からコープ商品として発売。今や全国的にかなり人気の商品なのですが、「発売後、5年間ぐらいはほとんど売れませんでした(笑)。今、こんなに売れている理由が正直、僕らにもよくわからないんです」。

そう言って苦笑する工場長の長谷川諭さん。ヘルシー志向、昔ながらの味、シンプルな調理。時代の流れの中での食のこだわりにマッチした…のかどうか、その理由はさておき。工場での人の手による入念な製造に驚かされました。

「アフリカ北西部のモーリタニアやモロッコ、スペインから輸入した真だこをボイルして梅酢につけるだけなので、確かに簡単な作り方ではあるのですが」

素材の味がダイレクトなだけに、ひとつひとつの工程がおいしさのカギに。中でも大きなポイントとなるのが、広い工場内に並んだ年季の入った樽。木樽や樹脂製樽がずらりと並び、解凍された生だこが次々に中に投入されます。

「原料のたこと塩、水を樽に入れ、約20分程度樽を回してしっかり洗浄します」

樽から取り出したたこの臭いをかいで検品し(臭いで品質を確認)、足がきれいに丸まるように包丁で切れ目を入れ、再び塩とともに樽に戻して身を締めるために1時間ほど回転。出てきたたこは生の状態であるにもかかわらず、ぬめりが完璧に取れ、ゆでたようなツヤと弾力が! その後、20分ほどボイルして旨味を閉じこめ、カットして袋詰めする際に梅酢を入れればできあがりです。

「樽に入れて回すという昔ながらの方法が、いわゆる塩もみの代わりになるわけですが、たこを傷つけず、時間をかけて均一に塩もみすることでたこ本来の味わいや食感を損なわず、おいしさを保つことができるんです」

ていねいなたこの加工と、開発に2年かかったという秘伝の梅酢。人気商品として全国の組合員さんに親しまれているのは当然のことかもしれません。

梅酢たこの製造工程

冷凍で入荷した真だこを解凍後、樽の中に投入。
20分ほど樽で洗浄したたこを一旦、取り出します。
足がきれいに丸まるよう、包丁で切れ目を入れます。
ふたたび樽で塩もみした後、ボイル。機械に並べて約20分ほど加熱します。
ボイルしたたこを氷水で急速に冷やします。
異物をチェックしながら、規格の大きさにていねいにカット。
梅酢とともに袋詰めすればできあがり。

コープ九州の生活情報誌クリム10年9月号より

 

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