骨取りさばのみぞれ煮

子どもの魚離れ≠ノ歯止めを!タイ発・生協のアイデア商品

慣れた手つきで骨取りをするワーカーさん。一通り骨を取り終えた後も、細かいものが残っていないか何度もチェックします。内臓や血合いなどの残存も許されません。大人数の人手の必要な作業は、コストの関係もあってとても日本ではできないそうです。

すべての骨を、一つひとつ手作業で取り去る緻密な作業に
圧倒される、工場のライン

やわらかい身に甘めのタレとさばの脂が絡んだ絶妙な味わいは、手づくりでもなかなか難しそう。

マイナス4〜マイナス7度に保たれたさばを、まずは包丁でカット。三枚おろしにしながら、中骨と呼ばれる中心の骨などもきれいに取り除きます。縦長のフィーレ状になった切り身には腹骨や軟骨がついたままの状態ですが、これを骨取り専用に開発したハサミやピンセットを使って素早く、そして1本残らずきれいに取り去るのが、一連の製造工程の中でもっとも要となる作業。見ているだけでも大変そうな、その緻密な手仕事を、スピーディーに手際よくこなしていくワーカーさん(働いている人)たちの姿は感動的ですらありました。
魚が苦手とされる子どもの多くは、骨があって食べづらいことをその理由に挙げています。魚の好きなお年寄りにしても、骨を取ることの面倒や骨が喉に刺さる危険からなかなか手軽にいただくことができない…。そんな食卓の“魚離れ”を解決してくれるのがこの商品。脂のりのよさで定評のあるノルウェー産のさばを使った『骨取りさばのみぞれ煮』です。製造しているのは、タイの首都バンコク郊外にあるユニオン・フローズン・プロダクツ。自社船で漁獲した魚の加工やえびの養殖などを幅広く手がけるタイ国内大手の水産加工メーカーで、2年前からみぞれ煮および同じシリーズのさばの味噌煮の製造を請け負っています。
さばは温度変化に敏感で、味にも影響が出やすいため、工場内は室温を常に15度以下に設定。熱帯のアジア地域では、寒さに慣れていない人々が働く環境にこれほどの低温はなかなか困難なのだとか。さらに、加工の時間や方法、機械の整備など、すべてのラインで生協の厳しい基準をクリアした、管理の行き届いた製造の様子を見ていると、海の向こうでこれほど真摯に日本向けの商品を作ってくださっているワーカーさんに感謝せずにはいられません。
骨取りという生協ならではのアイデアがロングセラーにつながっているさばのみぞれ煮。実際に食べてみると、骨のない“安心”感につくづく食べやすさを実感! もちろん味も文句なし。ほんのり甘辛いタレがしみ込み、たっぷりと脂ののったみぞれ煮。ご飯のおかずにこれ以上の逸品があるでしょうか。

骨取りさばのみぞれ煮の製造工程

原料のさばは加工前に−10度の部屋で一晩かけて軽く解凍。
1をバラして、まずは頭部をカットします。
その後、三枚おろしに。
内臓や血合いを取り除きます。
太い腹骨を手際よく取り去ります。
残った軟骨も見逃さず、ピンセットで除去。
手早く切り身にします。
タレと一緒に真空パック。切り身はその前に塩水漬けにして味をしみ込みやすくしています。
ボイルしてパッケージ。

コープ九州の生活情報誌クリム11年3月号より

 

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