機械でスルスルと羊腸に中身が詰められ、あっという間に長くつらなったウインナーが完成していきます。これをスモークすれば商品のできあがり。自然な肉の色味です。
「黒豚あらびきウインナーはやや甘めで子どもでも食べやすいやわらかさにしていますが、こちらの『あらびきウインナー』は、肉そのものの食感が楽しめるようさらに粗挽きに加工し、ペッパー(こしょう)をきかせました。どちらかというと大人の味に仕上げています」
2つの商品ともに多くの組合員に支持されている『あらびきウインナー』と『黒豚あらびきウインナー』。誰もが気になるであろうその違いについて、製造元である鹿児島協同食品鰍フ担当者はこのように説明してくださいました。『あらびきウインナー』の発売は今から24年ほど前。噛んだ時のパキッとした食感と中からじゅわっと肉汁が出てくる味わいは、限りなく肉に近い画期的なウインナーとして、発売当初から注目の的に。それだけに当時は組合員の厳しい声もいろいろとあったそうで、
「『肉のくさみが気になる』『もっと歯ごたえをよくしてほしい』などの意見をいただきました。私たちはそれらの声をもとに時間をかけて改良を重ね、最終的に今の商品に落ちついたのは15〜16年ほど前になります」
だからこそ現在にいたるまで、その味も人気も何ら変わることはありません。多くのウインナーに使われていた発色剤を加えずに作られていることでも当時はかなり話題となりました。
加工の現場を訪れると、まずは大きな豚肉の塊に包丁を入れる人々の姿が目に入ります。使用している肉は100%鹿児島産。筋肉がしっかりついて弾力のあるうで肉やすね肉を使い、適度に脂身を残して一定の大きさにカットし、ミンチに。「肉の食感を出すために約3oと8oの2種類の大きさのミンチに加工し、ブラックペッパーと塩、調味液を加えて混ぜ合わせ、ひと晩ねかせて味をなじませます」。その後、ミキサーで練り上げて羊腸に充填し、桜のチップを使ったスモークハウスで加熱すればできあがりです。
「ボイルしても焼いてもOKですが、加熱しなくても食べられるウインナーなので、火を通しすぎないようにするのがポイントです」
コープ九州の生活情報誌クリム11年6月号より