広大な枝豆畑の向こう側で、ハーベスターが豆を収穫中。手前には大きな粒の枝豆が実っています。生でつまみ食いしましたが、しっかりと濃い味わいに驚きました。
午前8時。頭上には初夏の空気をたっぷりと含んだ力強い太陽がありました。案内された枝豆畑は台湾南部にある屏東県。いちめんに広がる畑に青々と茂る葉をかき分けると、その細い茎のあちこちに大きく太ったさやが実っています。遥かかなたに見えるのは、1台で500人分の作業をこなす、台湾国内に20台しかないという巨大ハーベスター。畑の中をゆっくりと進みながら枝豆をぐんぐん収穫するロボット車のようなもので、現地メーカーの日本人スタッフ・阿萬政宏さんによると「収穫は春と秋の2カ月ずつ。ひとつの畑が約9ha(福岡ドームは約7ha)、全部で450haありますから(そのうち2割近くが生協用!)とても人手では間に合いません」。ハーベスターが通った後の畑は地元の人たちに無料で開放されており、機械が取り残した枝豆をせっせと袋やざるに入れて持ち帰る大勢の人の姿が。枝豆は台湾でも人気の素材なのです。
台湾で枝豆の生産が始まったのは今から約40年前。かつて、さとうきびの生産が盛んだった台湾では、その需要が徐々に減少したため、かつてのさとうきび畑を利用した枝豆作りが広がっています。気になる農薬の使用については「使用可能な農薬を特定し、1シーズンに4〜5回散布。残留農薬検査は、収穫前と製品の包装時に各1回ずつしっかり実施しています。徹底管理しています」
収穫した枝豆は一定の量ごとにトラックで工場へ。さぁ、ここからは鮮度を損なわないよう、フルスピードで加工がスタート。泥や土を取り除いて水洗い、葉や茎を取り除いて水洗い、小さなものを除去して水洗いというふうに、とにかく徹底した“除去”と“水洗い”の繰り返しの後、スチーム加熱・塩味つけ、凍結、包装工程へとすすみます。ちなみに原料の収穫から凍結までにかかる時間はおよそ4時間。鮮度自慢の商品だけあって、加工の速さには妥協を許しません。そしてもちろん、枝豆の品質にも。「品種改良によって粒が大きく、甘みと香りをしっかり持つ枝豆をより多く収穫できるようになりました」。
子どもたちからお年寄りまで、幅広い年齢に人気の枝豆。おつまみに、おやつに、お弁当にと、家庭での人気が一気に上昇する季節が到来です。
コープ九州の生活情報誌クリム11年7月号より