1日にさばく鶏肉の数はおよそ10,000羽。工場の中では160名前後の人々が解体作業を行っていました。獣医も常駐し、丸鶏の状態で肉質を1羽1羽チェックしています。
「みつせ鶏の肉質を端的に表現するとしたら、『ブロイラーのようにやわらかすぎず、地鶏のように固すぎない』ということでしょうね」
生協でもロングセラーのみつせ鶏というブランドはもちろん知っているし、確かに味もいい。でも…どういう種類のどんな鶏肉なのかと聞かれるとはっきりとは答えられない。そんな組合員さんもきっと多いのではないでしょうか。
佐賀県鳥栖市に本社を置く潟コオが鶏の飼育から肉の加工まで一貫して行っているみつせ鶏。近郊に位置する三瀬村という自然ゆたかな地名からその名がつけられました。みつせ鶏は普通の鶏肉より値が張るにもかかわらず、発売当時からまったく人気はおとろえません。その理由をものがたる飼育の方法について担当者の方に聞いてみると、「品種は日本人の嗜好に合うフランス産の赤鶏をルーツに持つ鶏。空輸でとどくヒナ鶏を、自由に動ける開放鶏舎の中で、こだわりの飼料とストレスに細心の注意を払った環境のもと、育てています」。じつはこの“こだわりの飼料”こそみつせ鶏の要。米や麦、大豆などをたっぷり使った穀物中心の飼料を与えることで、独特の深みとコクのある風味を備えたジューシーな鶏肉が完成するのです。さらに、「みつせ鶏は低脂肪でありながらリノール酸などの旨み成分が豊富。飼育期間が一般の鶏肉の50日前後に比べ80日と長いので、それだけ風味が増すというのも特長のひとつです」
みつせ鶏は精肉以外にも、工場では約400アイテムもの加工品が作られています。今回はその中でもとくに冬場に売れるという『肉だんご』のラインを見学することができました。ムネ肉と皮をそれぞれ異なるサイズで、歯ごたえが残るよう大きめにミンチにし、玉ねぎや塩こしょうを加えてミキシング。加熱はボイルと蒸す、の2段階という手間のかけよう。「まずは軽くボイルして肉の旨みを閉じ込め、その後じっくり蒸して仕上げるんです」
あらゆる鍋物に、カレーやシチューなどの煮込み料理に。鶏の苦手な子どもたちにも食べやすいと評判! 肉質にこだわるみつせ鶏で作る肉だんごですから、ワンランク上のごちそうになること間違いなし、です。
コープ九州の生活情報誌クリム11年11月号より