9月に新しく登場した『コープイタリアのワイン』をご存知ですか? じつはこの商品、イタリアの生協・コープイタリアの組合員に一番利用されているワイン。本場のワインを日本の家庭でもお手軽な価格で楽しんでほしいとの想いで、イタリアと日本の生協が提携して共同開発が実現しました。今回はその産地であるイタリア北部にあるイタリアの食の宝庫・エミリア=ロマーニャ州へ!
まず訪れたのは、州都ボローニャ郊外に20ヘクタールの畑を持つぶどうの生産者・バルナベさん宅のゲストルーム。主のアルドさんは約2200の地域生産組合の組合長。ランチタイムのテーブルには、妻カルロッタさんの手料理が次々と並びます。自分たちのぶどうから生まれたワインが、生協つながりで日本の方に飲んでもらえることはこの上なくハッピーですと、アルドさんもうれしそう。
「土と気候、そして木。この3つを知ること。それがぶどう作りです。日々、それらと話をしながら、私たちはその年ごとに最大の結果を出さなければなりません」
現在は息子のダニエレさんとともに働くアルドさん。カルロッタさんの心づくしの手料理とコープイタリアのワインに、にこにこ顔で「ブォーノ!(おいしい)」を連発。
「地面と木さえあれば、ぶどうは誰にでも栽培できるでしょう。でも上質のぶどうとなると話は別です。収穫の時期、私たちは五感を研ぎ澄ませて果実の状態を見ます。実のなり方や粒の膨らみ具合、甘み、果汁…。もっともベストなタイミングで収穫をはじめる。早すぎても遅すぎてもだめです。どれだけいいぶどうができても、このタイミングを逃すと、我々の仕事は失敗なんです」
今年は雨が少なく、好天が続いた北イタリア。無事に収穫を終えた安堵感も手伝って、アルドさんは終始リラックスした笑顔でした。
それにしても、カルロッタさんの手料理のおいしかったこと!この日のために仕留めた野鳥のグリル、前日に解体した豚肉のソーセージ、チーズ。それらにぴったりのコープのワイン。とても贅沢でなごやかな3時間のランチでした。
コープイタリアのワインは『チェビコ社』という生産組合で製造されています。爽やかな秋晴れが続く中、次の日はチェビコ社の醸造所を訪ねました。生産者が収穫したぶどうを搾って醸造する工場です。さっそく目に入ったのは、敷地内の一角にあるぶどうを搾った後の大量の皮の山。
「搾った後の種や皮の割合は全体の12〜15%。EUでこれ以上少なくてはいけない、つまり搾りすぎてはいけないという規則があるんです。この皮を使ってグラッパという蒸留酒を作るんですよ」
入荷したぶどうは糖度などのチェック後、プレス機で圧搾。フィルターにかけてタンクに投入し、白と赤で異なる温度管理の中、酵母を入れて徐々に発酵させます。
チェビコ社の社員で農業博士でもあるスタッフの方が語ってくれた話はとても印象的でした。
「ワイン作りに欠かせないのは、情熱と謙遜の心。新しいものを追い求める探究心、そして自然への畏敬の念。エミリア=ロマーニャ州はワインの品質と価格のバランスが国内で最もよいとされています。そのような地でワインを作れることは、私たちの大きな誇りであり、喜びです」
3日目はチェビコのボトリング(瓶詰め)工場のひとつ・ロンコ工場へ。ステンレスタンクにはぶどうの品種ごとにワインが貯蔵され、随時ブレンドとボトリングが行われます。ちなみにコープのワインは白はトレビアーノ、赤はサンジョベーゼがメイン。どちらもエミリア=ロマーニャ州で多く作られている品種です。
「ワインは生きています。私たちはタンクに貯蔵するワインが一定の味わいを保てるよう、常に厳しい管理が要求されるのです」
熟成や発酵をすすめるのか、止めるのか。味を左右するワインの状態を見極めるのは、並々ならぬプロ意識を持つ職人たち。ボトリングの前には、それぞれの規格に合わせてブレンドしたものを1週間ねかせて品質を安定させます。
チェビコ社のエンリコさんの案内で見学した工場。その清潔で機能的な環境に驚きました。
「コープのワインは白も赤も飲みやすくすっきりした味わい。ぶどうの酸味と甘みのバランスがよく、どんな料理にも合うと、イタリアの組合員にも大好評なんです」
一人ひとりの真摯な気持ちが、その1本にぎゅっと詰まったコープイタリアのワインに、乾杯!
コープ九州の生活情報誌クリム11年12月号より