膨大な紙ゴミの前に立つ大分製紙鰍フ田北信行さん。支所で集めた組合員さんからの紙ゴミがトラックでどんどん届きます。
「見てください。これがコアノンの原料なんですよ」。大分製紙竃L前工場長の田北信行さんが指差した工場の入り口付近には、圧倒されるばかりの紙ゴミの山! 多くは生協の支所からトラックで回収したもので、そのほとんどは私たちが普段、目にしているカタログやチラシ、牛乳パックなどのリサイクルゴミです。
生協が30年前に開発したトイレットペーパー『コアノンロール』。芯がなく、長さは一般的なペーパーの約2倍(シングルの場合)、横幅を9o短くした省サイズ。当時はほとんど手がけられていなかったリサイクル100%。画期的なトイレットペーパーとしてまたたく間に組合員さんに広がり、以後、今に至るまでその人気は衰えるところを知りません。
そんなコアノンロールの発売30周年を機に昨年、仲間入りしたのがエンボスタイプ。表面に凹凸をつけて肌触りをよくするエンボス加工はすでにおなじみですが、コアノンではまだ手つかずでした。
「コアノンは芯なしですから、エンボス加工によって紙質を柔らかくした時の芯穴への影響が非常に懸念されたんです」
エンボスを施してペーパーを柔らかくすれば、それだけ芯穴の強度が損なわれ、穴がつぶれやすくなるというわけです。
大分製紙ではこの問題を解決するのに約半年間、研究を重ねました。芯の周辺の紙の水分量、紙すきの方法、ペーパーを巻き上げる際の圧力、エンボスのドットの深さ。そのすべてを研究し尽した結果、ようやく完成に至ったのが昨年6月。
「紙の表面性を向上させてソフトな肌触りを出しながら、ペーパーを巻き上げる圧力を細かく調整することによって、芯穴の強度を保てるようになったんです」
数々の試行錯誤を経て生まれたエンボスタイプ。これまでのコアノンファンにも、初めて使った方にも大好評です
生協で回収した紙ゴミがトイレットペーパーに生まれ変わる。コアノンロールは紙ゴミの地産地消≠ニ胸を張る田北さん。30年のロングセラーの歩みに、新たな歴史がまたひとつ刻まれました。
コープ九州の生活情報誌クリム14年2月号より