薬用エルベナソープ

乾燥・熟成を繰り返し、およそ80日間もかけて作る職人技!

石けんの元となる液体の石けん素地を枠に流し、水で冷やしながら撹拌する枠練り作業。専用の棒を使って手で練っていきます。

ほとんどの工程が手作業。
今ではほとんど用いられない昔ながらの製造が、上質の証

乾燥の途中で、そして仕上げ時にも、湿らせたタオルを使ってひとつひとつ手作業で磨きます。同時に商品のチェックも入念に。
洗顔のコツは石けんを十分に泡立てて、なでるようにやさしく洗うこと。ゴシゴシこすってはいけません。

その石けんはなんと、約80日もの日数をかけて作られています。効率やスピードが求められるこの時代に、信じられますか? しかも製造はほぼ手作業、工場には多くの石けん職人が黙々と商品を作る姿。その石けんとは、炭の効果で肌の汚れをすっきり落とす「薬用エルベナソープ」です。
大阪府内にある三和化学工業は、今年で創業54年。年季の入った建物で、まずは石けんの元になる素地を作るところから製造は始まります。
「油や苛性ソーダ、水などの原料を混ぜ合わせた石けん素地を自社で作るところは現在、ほとんどありません」
そう話す取締役の中井正人さん。素地を自社で作れば、目的に応じて原料や配合量を独自に変えられますが、手間がかかるため、現在は均一の素地を使うのが主流だそうです。
このようにして完成した石けん素地を枠に流し、水で冷やしながら撹拌。空気が入らないよう、成分が偏らないよう。専用の棒を使った枠練り作業にもコツとワザが秘められています。
さぁ、そしてここからが、完成までの長い道のり。製造開始から3日目、枠から抜いた石けんをピアノ線でさらに切断したら、一定の気温と湿度を保った部屋で2週間ほど乾燥させます。
「湿度が少ないとひびが入り、温度が高いと溶けることもあるんです」
その後、石けんをお湯につけて水分が飛んで白くなった表面を溶かし、プレス成型。そしてさらに約1カ月半、乾燥。表面にロゴマークを入れ、再び2週間の乾燥を経たところで、湿ったタオルで表面をひとつひとつ手で磨きながら商品チェック。さらに約10日間かけて乾燥すれば完成です。
「乾燥とは、つまり熟成させることです。含まれる水分量は40%から、完成時は23%程度になります。じっくり乾燥・熟成することによって、成分が落ち着いて肌にもやさしく、溶けくずれしにくい石けんができるんです」
手作業でじっくり時間をかけて、自然の流れで熟成を促す。つまり「熟成で旨くなるチーズやワインと同じなんです」。なるほど!
炭で肌のくすみを落とし、きめ細かい泡が肌に透明感を。和漢植物エキスでしっとりとした肌に。厳選した原料と約80日間の製造が、美肌に導く肌へのごちそう、というわけです。

手間ひまを惜しまないていねいな手作りに感動

製造開始1日目に石けん素地を作り、次の日に素地を枠に入れて枠練りを。
枠練り後、固まった石けんを枠からはずします。真っ黒い板状です。
ひとつひとつ手作業で型抜き。形の整った四角形に抜くのは至難のワザ。
型抜きした石けんを1日乾燥させます。水分を吸収するよう木製容器を使用。
型抜きした石けんを3日目に形を整えるためにピアノ線で切断。
切断後は、ひびが入らないよう温度と湿度を調整した部屋で約2週間乾燥。
お湯につけて乾燥した部分を溶かしてプレス後に形を整え、1カ月半、乾燥。
一旦取り出してスチームで柔らかくし、ロゴ入れ。7〜8週目の作業です。
さらに2週間自然乾燥させ、湿らせたタオルでひとつひとつ磨き上げ。
約10日間置いて完成。水分量は製造直後40%、仕上がり時は約23%まで減少。
検品しながら手で箱詰め。最後まで手間のかかる製造なのでした。

コープ九州の生活情報誌クリム14年7月号より

 

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