漁船に設置したクレーンで、海中から引き揚げた「連(仕掛け)」には、大きく育った牡蠣がびっしり!
フライに、お鍋に、炊き込みご飯に。これからの季節、家族の食欲と食卓を大いに湧かせてくれる牡蠣。独特の風味とプリッとした食感、クリーミーな味わいがたまりません。
コープの「冷凍かき」は、国内有数の牡蠣の産地である広島産。1月から5月に瀬戸内海で収穫したもので、その味には全国的に定評があります。
「牡蠣の成育に適した水温で、餌となる植物性プランクトンが豊富。波が穏やかなので、養殖いかだが壊れにくい。瀬戸内海は、さまざまな条件が牡蠣の養殖にぴったりなんです」
漁獲のため、朝早く呉市内から出港した漁船の上で、そう説明してくださったのは、製造元・クニヒロの川ア博史さん。岸からほど近い、波静かな海面のあちこちに、四角い枠の養殖いかだが浮いているのが見えます。
ところで、牡蠣の養殖の方法をご存知ですか? その必須アイテムとなるのがなんと、帆立貝の殻。
「毎年夏場に帆立の殻をつなげて海に沈め、産卵した牡蠣の種を放すと、殻に種が付着して牡蠣の生育が始まります。ある程度育ったら、10メートルほどのワイヤーに帆立の殻を下げ直した「連(仕掛け)」を、竹の棒を縦横に編んだ養殖いかだから海中に吊るしておくんです」
取材に伺った3月は、ちょうど水揚げ真っ盛りの時期。漁船に設置されたクレーンで、海中の「連」を引き上げると…、ワイヤーには成育した牡蠣がびっしり連なっています。
シーズン中、水揚げ作業が行われるのは、早朝5時〜午前8時頃。収穫した牡蠣は、漁師が所有する加工場に持ち帰って洗い、海水に浸けて体内を浄化した後、中身を取り出します。
加工場の作業場では、十数名の方々が横一列に並んで座り、牡蠣の身を取り出す「牡蠣打ち」作業を行っていました。殻を素早くこじ開け、殻にくっついている身を要領よく引き離し、バケツへ。傷つけないよう、崩さないよう、スピーディに。その手際のよさには、圧倒されるばかりです。
このようにしてむき身となった牡蠣は、ようやくクニヒロの工場へと運ばれ、入念な洗浄や選別を経て急速凍結後、袋詰めになります。養殖して収穫、そして加工まで。どの工程ひとつとっても、一筋縄ではいかない自然相手の商品作り。瀬戸内の恵みを、どうぞたっぷりご堪能ください。
コープ九州の生活情報誌クリム14年11月号より