なめらかに撹拌したすり身。これを薄いシート状に伸ばし、麺切りの機械で細くカットしていきます。
目をつぶって食べると、もしかしたら本物のかにと思い込んでしまうかもしれません。かに独特のほんのりと甘い風味と淡泊な味わい。ほどよくぷりっとした食感。そしてなんといってもこの、絶妙な身のほぐれ具合がすごいです。かにかま一球入魂! みたいな製造元の心意気さえ感じる商品です。それもそのはず、「かに風味かまぼこ」の製造メーカー・大崎水産は、今でこそ当たり前に見かけるかにかまぼこの先駆け。かにかまぼこの製造を始めたのが今から41年前。コープのかに風味かまぼこを手がけるようになったのは21年前。現在、工場で製造している商品の約9割はかにかま関連。というわけで、かにかまにおけるかにらしさ≠フ再現力は、半端ではないわけです。
「原料のすり身にはスケソウダラを使っていますが、うちでは品質を重視し、洋上加工のものに徹底してこだわっているんです」
メーカーの担当者が胸を張る洋上加工とは、漁獲後、船の中で素早く冷凍すり身に加工する技。つまり、鮮度が非常にいいということです。
「かにかまのなめらかな食感と風味のよさは、新鮮なすり身だからこそ出せる味わい。すり身の配合量も多いので、しっかりした弾力も生きています」
製造工程はまず、冷凍の塊で入荷したスケソウダラのすり身を粗くカットし、かにエキス、みりんなどの液体調味料を加えて撹拌。これを厚さ1.6ミリの帯状に延ばして、蒸気で蒸します。その後、麺切りという機械を使って細い繊維状にカット。麺切りの工程は、残念ながら企業秘密ということで撮影はできませんでしたが、まさにうどんやそばなどの麺を切るイメージです。
「これこそが、かにの身のほぐれた感じを出すための工程です。他社の製品は、こんなふうに1本1本を完全に裁断してしまうことは少ないのでは」
麺切りしたかまぼこの繊維を束ねてシートでくるみ、表面をほんのり赤く色づけして殺菌加熱すれば完成。ちなみに、「かに風味かまぼこ」の1本を形成するかまぼこの繊維は、およそ100本というから驚きです。
サラダや酢の物はもちろん、磯辺揚げ風に衣をつけて揚げたり、玉子焼きに入れたり。カリフォルニアロールなどの洋風巻き寿司にも重宝。
あらゆる料理に出番の多い便利な商品ですが、まずはそのまま食べてみてください。納得のかに感≠ノ、きっと満足できることでしょう。
コープ九州の生活情報誌クリム15年5月号より