麹や大豆を仕込みのタンクに入れ、空気をためないように表面をならして重石をし、発酵室へ。
蒸した大豆を約40℃前後まで空気を吸引して冷却しています。

あわせみそ≠フ合わせ方には、いくつか方法があるんです。米と麦の麹を合わせたり、できたみそを混ぜたり。うちでは米と麦を原料の段階で合わせて麹を作り、大豆を加えて仕込みます。
それがこだわりなんですね。
米と麦の麹どうしを合わせるとどうしても均一に混ざらず、味や品質にバラつきが出てしまうんです。かと言って、できたみそとみそを混ぜ合わせると粒感のない練ったようなみそになってまう。一般的なあわせみその商品はこの方法が多いんですが。
麹や発酵の世界は奥深い…。
製造も複雑ですしね。ちなみに今回の『あわせみそマイルド』も『米麦あわせみそ』も、基本の作り方は同じです。
では何が違うんですか?
麹の割合です。“マイルド”は大豆10に対して麹が25、“米麦”は大豆10に麹17。麹が多いほど甘いので、“マイルド”はより甘く、生醤油を加えているのでコクがありますね。反対に“米麦”はさっぱりした甘さと、みそ本来の味を楽しめます。

原料のラインにて

まずは大豆の選別です。ここでは12段のロール選別機にかけて、1粒1粒をチェックしながら選別するんです。選別した大豆は水洗いして水に浸け、蒸してつぶします(@ A)。
ミンチ状につぶすんですね。
まさに大豆ミンチ。麹や塩と均一に混ざる大きさで、径3ミリのミンチにしています(B)。
麹もここで作るんですか?
はい。蒸した米と麦に種麹をまぶして植菌し、麹室に広げ、麹菌をかけて、だいたい40〜45時間で麹ができあがりますね(C)。
麹作りは温度や湿度などがとても大切だと聞きますが。
その通りです。いい麹がおいしいみその第一歩ですからね。そこは昔から変わらない職人技で…。で、みその仕込みは麹ができたタイミングで行っています。
それが今日なんですね。
完成した麹は甘酒のようないい香りがします。毎週火曜がうちの麹作りの日で、夕方になると町一帯に甘い麹の香りがふんわりと立ち込めていますよ。

みその仕込みを見学

麹と大豆、塩などを混ぜ合わせ、“マイルド”には生醤油を加え発酵室へ運んで約2カ月、熟成発酵させます(D)。
発酵室はさすがにでかい!
ここでも温度管理が重要です。まず33℃まで上げて発酵を促し、その後25℃ぐらいに下げると発酵がすすんで風味や香りが徐々に出てきます。そして最後に約15℃に下げて落ち着かせる、そんな流れです。
すごい微妙な温度調整ですね。昔は機械も発達してなかったから大変だったでしょうね。
うちは155年前の醸造技術を受け継いでますが、本当にすごい技です。
毎朝のみそ汁に感謝ですね。
ところで、みその色の濃い薄いは何が違うか知ってますか?
味じゃないですか? 濃い色ほど辛いとか…。
そう思っている方が多いんですが、色は大豆の蒸し方などで変わるもので、味は関係ないんですよ。
え? 知りませんでした! やっぱりみそは奥が深い(笑)。
映画のロケにも使われたというフンドーキン醤油の本社事務所。レトロでとても趣があります。
工場長の今ア眞司さん。「みその料理はやはりみそ汁が一番。具は豆腐や油揚げ、わかめが好きです」
麹室の中で、今まさに完成した麹。中には入れないので窓越しで撮影。
仕込む前、大豆と麹、塩、水などをしっかり撹拌します。
蒸した大豆を3mmのミンチ機にかけると、この通り。
大豆の選別場にて。この日の選別は終了していました。
高圧釜にかけて蒸した大豆(ミンチにする前)。ほかほかといい匂いが漂います。
発酵室は全7室。3,500tのみそを仕込むことができます。
発酵室から出てきたみそを充填して、商品に。
見学の後、みその飲み比べをしました。『あわせみそマイルド』は甘め、『米麦あわせみそ』はさっぱりした風味です。

コープ九州の生活情報誌クリム16年5月号より

 

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