タンクの中に原料となる豆乳を入れ、水飴や塩などをブレンドしながら撹拌します。
のどかな田園地帯にたたずむ工場。取材した日は3月末で、菜の花がきれいでした。

大豆の臭みがないのが、この商品の特長なんです。ちょっと飲んでみていただけますか?
確かに。豆乳の濃さっていうんでしょうか、コクはしっかりあるけど、大豆特有のクセがないですね。牛乳みたいにゴクゴク飲める感じ。ほんのりした甘さもちょうどいいです。
原料の大豆は、よく豆腐などに使われるフクユタカという品種です。たんぱく質が豊富で、栄養的にもすぐれているんですよ。
どうやって臭みを取っているんですか?
うちでは皮をむいた大豆を使っているのと、もうひとつは豆乳を搾汁する段階で、大豆が持つ酵素の働きを抑制させているんです。
つまり、酵素の働きも臭みの原因になるということですか。
はい。少し難しい話になりますが、脱皮した大豆と熱湯を混ぜ合わせて破砕したものを搾ることで、酵素の働きが抑えられるんです。
確かに難しいですね(笑)。
ということで、さっそく工場へ行きましょう。飲料なので現物がほとんど見えなくてわかりづらいんですが…。

管だらけの製造ライン

じつは原料となる豆乳は、ここで作っているわけではないんですよ。弊社の宮田工場(福岡県宮若市)で製造した豆乳がこちらに運ばれてきて、うちではその豆乳を使って調合、殺菌充填し、製品にするんです。
ということは、今日は原料の大豆とか圧搾の様子は見ることができないんですね。
残念ですが…。ほら、ご覧の通り、管だらけでしょう(@ )。唯一、中身が見えるのがこのタンクの中だけですね。
見えました! 豆乳(A)。
原料の豆乳をタンクに移して、水飴とか食塩などを投入します。で、こんなふうに均一に混ぜて味を調えるんです。
泡立っているのも、成分なんですね?
大豆にはたんぱく質など豊富な栄養が含まれていますからね。
大豆の代表的な成分といえば、大豆イソフラボンですよね。
そうです。この商品は今から13年前に発売されたんですが、ちょうどイソフラボンなどの大豆の栄養が注目された時期で、生協さんの「健康にいい飲料を」というのが開発のきっかけでした。
調合された豆乳はどこへ?
サイクロンとラインフィルター、マグネットフィルターで3重の異物対策を行います。そして、加熱殺菌です。
すごい複雑な機械…(B)。
この商品は、完成した豆乳に直接、蒸気を吹き込んで殺菌しているんです。その後、吹き込んだ蒸気を取り除く際に、同時に大豆の臭いもいっしょに取り除きますので、その段階でも臭みが取れるんです。
ほほぅ。
最後にホモゲナイザーという機械で、中の水分と脂肪分が分離しないよう均質化します。
そしてパック詰めですね。
殺菌した豆乳を、無菌状態の中で、滅菌した容器に充填します。
そうか! だから常温で長期保存できるってわけですね。
豆乳は、製造そのものはシンプルなんですが、専門的な部分でややこしい工程がいろいろあって、わかりにくくてすみません(笑)。
いえいえ。ていねいにご説明いただいてありがとうございました。これからもゴクゴク飲ませていただきます。
ふくれんの営業・松本修一さん(左)と、商品開発課の久良木正秋さん。まずは会議室で商品の説明から始まりました。
さっそく試飲。コクがあるのにマイルドで飲みやすい! ゴクゴクいけます。
この銀色の太い棒のようなものが、異物除去のフィルターなのです。
異物除去や金属除去の説明中。いやいや、複雑な機械です。
製造ラインはこんな感じで、調合タンク以外の工程では中身は一切、見ることができません。
無菌状態の充填方法について説明を聞きました。パックが組み立てられるのと同時に、中身が充填される仕組みです。
充填後、カメラ検査機に通して容器の状態などをチェック。
口栓付きキャップなので、こぼれずに注ぎやすく、保存しやすくなりました。
甘さ控えめなので、料理やおやつ作りにもぴったりです。
できましたー! 完成品が整列してどんどん流れてきます。

コープ九州の生活情報誌クリム16年6月号より

 

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